障害者の方のテレワーク型雇用という新たな採用手法。初めて取り組んだ本学も、エンカクのおかげで高いスキルを持った人財と巡り合えました
学校法人國學院大學様
総務部人事課
長谷川 顕子様 坂井 貴大様
利用サービス:在宅雇用導入支援
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複数の採用手法で一気に推し進めることになった障害者雇用
――最初にD&Iが御校をご訪問したのが2019年秋頃ですが、当時の御校の障害者雇用はどんなご状況でしたか?
2019年の3月頃、定年退職をはじめとする退職者が相次ぎ、急に雇用率が低下してしまいました。
それにより、年内に複数名の採用が急務となりました。
短期間でそれだけの人数を一気に採用した経験がなかったため、不安が募る状態での活動開始となりました。
――具体的にはどのような方法で採用活動を進められたのですか?
あらゆる方法ですね。
障害者雇用を推進していることを全教職員に告知し、口コミのような形でも募集をかけましたし、ハローワークや人材会社経由での募集も行いました。
そのように複数の手法により同時並行で採用活動を進めたのは初めてでしたので、正直、相当苦労いたしました。
――採用活動を開始され、その後の進捗はいかがでしたか?
大学内の事務職で募集をかけたものの、候補者がなかなか集まりませんでした。
仕事内容なのか待遇面なのか、複合的な要因が考えられますが、求職者の売り手化がそれだけ進んでいるのだということを実感しましたね。
テレワーク導入が、売り手化する採用市場における戦略の一つに
――そのような中、エンカクに興味を持っていただいたきっかけは何でしょうか?
障害者の方に在宅で働いていただくという発想が、まさに目から鱗だったんです。
D&Iから提案を受けるまで全く知らなかったのですが、様々な障害の事情により、テレワークで働きたいという障害者の方が世の中に多くいらっしゃること、在宅で働ける環境を用意するだけで採用候補者の幅が圧倒的に広がるということが、非常に印象的でした。
――実際にエンカクの導入を進める中で、課題や困難はございましたか?
大学としても初のテレワークという形での雇用でしたので、やはり業務の選定や切り出しに苦慮しました。
3,4か月はかかったでしょうか。
D&Iの担当者が現場のニーズを丁寧に吸い上げてくださり、業務内容の案はいくつか出たものの、学内システムの利用が必要となる関係で実現が難しいケースが多くありました。
――テレワークで雇用する際、業務内容の選定に苦労するというお声はよくお聞きします。その後、どのように業務を決定されたのですか?
D&Iの担当者と人事課で話し合う中で 「学内のポスター制作などのデザイン系の業務であれば、色々な仕事が想定できるかもしれない」というアイデアが出ました。
そこでタイミングも相まってD&Iにちょうどデザインスキルの高い候補者(Hさん)の登録があり、早速紹介してくれる流れになったんです。
それまで、掲示物や配布物など、本当は時間をかけて良いものを作りたいのに、担当職員が他の業務に追われて時間を割けていない業務というのが学内には大量にありました。
Hさんのようにスキルを持った方であれば、幅広くお仕事をお任せできそうだと思い、ぜひ選考に進んでいただきたいという話になりました。
新型コロナウイルスを機に意識したテレワークの意義
――選考開始から内定・入社まではスムーズに進まれたそうですね。ご入社後のご様子はいかがでしたか?
Hさんの志向性やご経験と想定業務の親和性が高かったので、スムーズに入社決定に至りました。
システム面の環境整備等も、特に大きな問題なく進めることができました。
実は、Hさんが入社した今年4月、新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言が発令されたことにより、障害をお持ちの職員は一斉に自宅待機となってしまったんです。
しかしHさんだけは唯一、テレワークでの勤務体制が整っていたので、緊急事態宣言の影響を受けることなく通常通りに勤務を継続していただくことができました。
それまではテレワーク環境を整える必要性を感じる機会は無かったのですが、コロナを機に一気に意識が変わりましたね。
職場に通勤せずとも仕事ができる体制を作る重要性に気づかされました。
――多くの企業や法人がコロナの影響を受ける中、通常通りの勤務を続けられたというのは素晴らしいことですね。入社後のHさんのご様子はいかがでしたか?
期待していた以上にご活躍いただいています。
Hさんは自発的に考えて動いてくださる方で、こちらが業務依頼をする際も完成形のイメージをある程度お伝えすれば、全て自分で考えて取り組んでくださいます。
例えば、右記の学内施設のパンフレットの作成を依頼した際、掲載してほしい大まかな情報と「旅行ガイドブックのような見た目にしてほしい」とだけHさんに伝えてみたのです。
アバウトすぎるご依頼をしたかなと思ったのですが、Hさんはその意図をちゃんとくみ取ってしっかり作り上げてくださいました。
もとは白黒刷りでレイアウトの工夫も不十分なパンフレットだったのですが、Hさんの作成された新版を配布するようになってから、営業が再開したら、是非利用したいとの声が学内で多くありました。
「障害をお持ちの方」ではなく、「専門スキルを持った一職員」という感覚で一緒に働けている
――テレワークというと、勤務中のコミュニケーション面の課題がよくあげられます。御校では、そのような課題はございましたか?
エンカククラウドのシステムを活用することで、全くと言っていいほど問題なくやり取りが行えています。
Hさんは聴覚障害をお持ちの方ですが、チャット機能を使うことで業務に関する話はもちろん、何気ない雑談もできています。
また、その日の体調や業務への充実感が把握できる機能や、提出物や勤怠管理の機能もついていて、全てシステム上で一括管理ができるので非常に助かっています。
――テレワークであっても、オフィス勤務と変わらない勤務ができているということですね。
はい。エンカククラウドのおかげで、Hさんに対して「障害をお持ちの方」という認識ではなく、「デザインが得意な一職員」という感覚で一緒に仕事ができています。
業務の進捗に関しては、管理側の職員の返信が追いつかないくらいスピーディーに毎日報告してくださいます。
そのため、業務依頼をしている他部署に対しても「Hさんは毎日進捗を報告してくれますから、しっかり確認してくださいね」と、人事側も自信を持って依頼をすることができます。
――エンカクに関する要望や、今後さらに期待したいことがあればお聞かせください。
エンカククラウドをとても重宝しておりますので、タブレットやスマートフォンでの利用もできるようになると、さらにありがたいですね。
細かい点では、チャットの履歴機能やタスク管理機能の拡充なども期待しています。
――最後に、障害者雇用に今回取り組まれてみたご感想と、御校における今後の障害者雇用の展望もお聞かせいただけますか?
振り返ってみると、まさに「案ずるより産むが易し」だったなと思います。
本学として初めてのテレワーク型雇用でしたし、かつ障害者の方ということで、当初はHさんの採用面接すらも上手く実施できるか不安がありました。
しかし、いざHさんと面接でお会いしてみたら、手話通訳士の方を通じてスムーズにやり取りができ、こんなにも自然にコミュニケーションが取れるものなのだと気付かされました。
実際にご入社いただいてからのHさんのお仕事ぶりやお持ちのスキルも素晴らしく、新鮮な驚きを感じています。
コロナ禍がもう少し落ち着けば学内の業務も増えてくると思いますので、Hさんにお任せする仕事内容をもっと広げていけると思います。
Hさんの制作物や成果物の素晴らしさを、学内の様々な部署に発信していくことで「うちの部署からも仕事をぜひ依頼したい」と言っていただけるのではと期待しています。
また、より先を見据えて、ゆくゆくは本学だけでなく法人内の幼稚園、中学・高校でも障害者雇用を推進していきたく考えています。