個々人の特性や強みに応じた業務を任せられれば、組織全体の生産性が向上していくのだろうなと思います。
弁護士ドットコム株式会社様
人事室
伊達 雄介様 竹内 瑠香様
利用サービス:在宅雇用導入支援
関連キーワード:#テレワーク型雇用サービス #マネジメント #戦力化 #地方創生
限られたリソースでどうマネジメントするか。採用後の姿が描けない中で
――採用活動を開始される前のご状況を教えてください。
正直、2018年までは全くと言っていい程、障害者雇用への取り組みはできておりませんでした。
ハローワークさんとも話し合いながら、採用に向けた情報収集を始めたのは2018年の夏ごろからでしょうか。
障害者の方を雇用するとなると、具体的にお任せする仕事を検討することはもちろん、入社後のマネジメントやサポートを担当する人員が必須となりますが、会社としてこれまで障害者雇用が叶わなかったこともあって、二の足を踏んでいたというのが正直なところです。
――障害者雇用を実際に進めるうえで、ハードルがあったということでしょうか?
そうですね。どのように採用し、どのように入社後のフォローをするかという方法は大体イメージできたものの、先ほど述べた通り、「誰がそれをやるか」を考えた時に、自社のリソースだけでは上手く進められるイメージが持てませんでした。
例えば、障害をお持ちの方に対して、どう接したらよいか、どういう対応は避けた方がよいかなど、日々の細やかなフォローや気遣いが必要不可欠になると思います。
しかし、当社にはそのためのノウハウもなければ、専任のマネジメント担当を付けるキャパシティーもない状況でしたので、難しいと思っていたのです。
様々な障害者雇用に関するサービスを提供している企業がありますが、農園型やサテライトオフィスでの雇用などの採用手法を検討してみたりもしました。
――そのような中で当社のテレワーク型雇用「エンカク」を導入いただいた理由は何でしょうか?
いくつかありますが、他の採用手法と比べて、うちの会社として意義のある採用ができそうだな、と感じたのが理由の一つです。
以前、とある企業の事例をお聞きして感心したことがあります。
その企業は「障害者雇用」をあまり特別視せず、会社の戦力として障害者の方に働いていただきながら、法定雇用率を大きく上回る障害者雇用をされていました。
その企業はWEBメディアを運営されている企業で、サイトに掲載する情報のチェック業務等を障害者の方にお任せし、個々人の状況に合わせて目標設定や評価を行った上で、処遇にも反映するなど、他の社員と同じような雇用管理を行っていました。
その事例を知ったときに、農園で雇用する形もいいけれど、せっかく障害者雇用に取り組むのであれば、事業と全く関係のない業務ではなく、社内で困っている事や既存の業務の一部を切り出して障害者の方にお任せできるといいなと思いました。
当社としてやる意義のある形での雇用ができたらいいな、と。
エンカクのサービスの提案を受けたときに、それが実現できるのではないかと感じたことが、導入を決めた理由の一つですね。
――現在、D&Iのテレワーク型雇用サービス「エンカク」を通じて2名の方にご入社いただき、テレワークで就業していただいています。その方々の入社後のご様子はいかがですか?
しっかりと戦力として働いていただいているなと思います。
以前、サイトのチェック業務をお任せしたときも、他の社員が使っているマニュアルをそのままメールでお送りしたら、自らキャッチアップして、一般の社員とほぼ同じ量をこなしてくださいました。
また、リモートワークでありながらも、3ヶ月に1回は本社に出社していただき、社員と話したり、ランチに行ったり、交流の場があるので帰属意識も持っていただけています。
勤怠も安定していますし、期待通り、もしくはそれ以上のパフォーマンスを発揮してくれているなと思いますね。
――また、D&Iの専任カウンセラーがテレワーカーの方の就業をフォローさせていただいていますが、その効果はいかがでしょうか?
本人の実際の状況を、カウンセラーの方がうまくヒアリングしてくれているなと思います。
障害についての話題はデリケートなので、人事担当から本人へどこまで踏み込んで聞いていいのか迷うことがありますし、逆もしかりで、おそらく本人から会社に直接言いづらいこともあるのだと思います。
カウンセラーの方が間に入って定期面談や日常のフォローを行ってくれることで、本人も本音を言いやすく、こちらとしても報告を一括して管理でき、助かっていますね。
また、「こういう時どうすればいいか」といった不明点は、発生の都度カウンセラーの方に相談しています。
より理想とする障害者雇用に向けて
――これまで採用についてお取り組みされてきて感じたことや、障害者雇用に対するご印象の変化はありますか?
当社に入社された2名の方が、期待以上に戦力になってくれたことで気付いたのは、本来、障害をお持ちの方にお任せできる業務ってもっとたくさんあるのに、組織の中で業務の集約と配分が上手くいっていないのではないか、ということです。
当社では障害者雇用に取り組む前から組織として課題を感じていて、本来その人でなくても出来る業務をその人がやらざるを得ないことで、コア業務に注力するべき時間が取られてしまっている。
これは人材マネジメントの観点で問題だと感じていますし、他の企業でも起こっていることではないかと思います。
非常にもったいないですよね。
ですので、組織の中で人材の最適配置と業務の再分配を行うことが求められるわけですが、それを、障害者の方を含めて行えるのではと思います。
個々人の特性や強みに応じた業務を任せられれば、組織全体の生産性が向上していくのだろうなと思います。
――今後、御社としてどのように採用を進めていきたいというお考えはありますか?
「手が空いたらやろう」と思っていながら手が回っていない業務、例えばデータの仕分けや格納など、細かくて地道な業務が人事室内には多くあります。
そういう緊急度の高くない業務は、いつかやろうと思いながら、実際は他の業務に追われて後回しにしてしまいがちです。
将来的には、そのような小さい業務を各事業部の中で集約して、障害をお持ちの社員にサポート役として担っていただけたらいいなと思います。
当社のフェーズを考えると少し先の話になりますが、ゆくゆくは、そういった雇用ができるといいなと考えています。
地方×障害者×在宅雇用への新たな挑戦
――では次に、テレワークにおける連携協定(※)への参画についてうかがいたく思います。参画のお話を聞かれた時、どんなご印象でしたか?
テレワークという形で障害者の方を雇用するのであれば、東京在住の方を雇用しても、石川県の方を雇用しても、良い意味で、あまり変わらないなというのが率直な印象です。
コミュニケーションはチャットや電話で取れますので、働く場所が東京であっても石川であっても、これまでと同様に雇用できると思います。
また、採用を有利に進められるのではないかという期待は感じていますね。
先日、石川で開催した当社の会社説明会には、30人もの方が集まってくださり、驚きました。
首都圏では、企業数が圧倒的に多いので、企業間で求職者の取り合いになってしまいますが、地方は採用競合が少ないため採用につながりやすいのではないかと思います。
説明会に、それだけ多くの方が興味を持ってくださったということは、その可能性の現れでもあると思いますし、求人数が少なく、働く場が限られてしまっている地方の方に求人を提供できるという意味で、社会的な意義も感じています。
一方で、ただ説明会に集まっていただくだけでなく、実際の採用に繋げていかなくてはいけない、という点は今後の課題ですね。
――お話しいただきありがとうございます。D&Iとしても、理想の障害者雇用の実現に向けて、今後もお力添えさせていただきます。
(※) 2019年5月、株式会社D&Iと石川県加賀市の間で、障害者テレワークにおける連携協定を締結しました。
連携の内容としては、D&Iのテレワーク雇用導入ノウハウを活用し、加賀市在住の障害者の方を、首都圏企業および加賀市の地場企業でテレワークによって雇用することを推進していくものです。
弁護士ドットコム様においては、第1号参画事業社として参画していただく運びとなりました。
詳細:D&I、加賀市と障がい者テレワークにおける連携協定を締結。 スマートインクルージョン推進を目指し、参画企業とセレモニーを実施